日本から見たイスラム教

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なし 日本から見たイスラム教

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2023/5/22 10:05 | 最終変更
タツ  管理人   投稿数: 2403 オンライン
世界には大なり小なり様々な宗教が存在します。宗教というものを信じる大きな理由の1つに死後の世界に不安を感じるということにあります。実際には科学的に証明されているものはなにもなく、現存する人間でその世界を詳しく知るものは誰もいないものの、その概念を色々な宗教というものを通して伝えられているという人間独自の世界です。この観点から宗教の浸透度を考える上で次のような記事データを見つけました。
引用:
死後の世界の存在を信じるか否か、世界各国での考え方をさぐる(2017~2020年分) 2021/2/15(月) https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20210215-00221877
世界には多様な宗教が存在し、その多くには死後の世界の概念が存在する。具体的にどの宗教がどれだけ浸透しているのかどうかはともかくとして、人々の中にどこまで死後の世界の考え方は根付いているのだろうか。世界規模で国単位の価値観を定点観測している「World Values Survey(世界価値観調査)」(※)の公開結果から確認する。

さらにこの記事にある死後の世界の存在を信じるか(信じる人の割合)(2017~2020年)のグラフにその国の宗教を関連付けてみました。
◎トルコ 91.8% (イスラム教)
◎イラン 91.3% (イスラム教) 
◎エジプト 88.1% (イスラム教) 
◎フィリッピン 83.6% (キリスト教) 
◎メキシコ 70.7% (キリスト教) 
◎アメリカ 68.2% (キリスト教) 
◎ポーランド 64.2% (キリスト教) 
◎チリ 61.9% (キリスト教) 
◎コロンビア 61.6% (キリスト教) 
◎アゼルバイジャン 58.7% (イスラム教) 
◎台湾 57.2 (仏教 道教) 
◎タイ 57.1 (仏教) 
◎ブラジル 56.7% (キリスト教) 
◎キプロス 54.8% (ギリシャ正教) 
◎ルーマニア 54.3% (ルーマニア正教会) 
◎オーストラリア 53.9%  (キリスト教) 
◎スイス 50.4% (キリスト教) 
◎イタリア 49.4% (キリスト教) 
◎ギリシャ 47.7% (キリスト教
----
引用:
日本はといえば32.2%で対象国の中では下から2番目。3割程度しか死後の世界は信じていない。もっともデータの詳細を確認すると、信じない人は34.7%でしかなく、「分からない」と答えた人が32.6%に達している。他の設問のパターン同様、「分からない」の値は日本が一番高いものとなっている。日本では確定し得ない、自信が無いものはとりあえず「分からない」と答えておくという処世術的なものが浸透しているのだろうか。

では、日本には信仰心がないのかというと全くそうではありません。例えば、初詣、結婚式、お祓いなどの儀式には多くの人が利用しています。、なにより全国どこにでも身近に存在するお地蔵さんなどは神仏に対する信仰の表れです。お地蔵さんは地域の守り神として存在し、平安時代に多く祀られたようで今でも大切にされています。日本の場合、仏教の国といっても1つの宗教を信仰するというわけではありません。それは宗教の自由が法律で保証されているからです。従って、神社仏閣をはじめ、教会、モスク等、色々な宗教の建物が存在しています。一般的には深く信仰に傾倒している人が多くないので分からないと答えたと考えられます。

なぜ死後の世界の存在を信じる人が、上位3か国には多いのか、それぞれの国の文化、法律はどうなのだろうと疑問が湧き調べてみました。

■トルコ
99%がイスラム教です。
引用:
トルコで何が起きているのか―― 宗教化する政治と過激化する社会 2016年8月号掲載論文 https://www.foreignaffairsj.co.jp/articles/201608_cagaptay/ 
トルコ共和国の初代大統領、ムスタファ・ケマル・アタチュルクは「宗教が政治に入り込むのを阻止する堅固な防波堤を築き、トルコを西洋の国として定義した」。これに対してエルドアンは保守的イスラム主義をトルコの政治と教育システム、そして外交政策に反映させようとしている。市民が信仰を個人の生活レベルに留めることを求めたアタチュルクは、過度に保守的な宗教指導者を社会から排除したが、いまや流れは覆され、エルドアンは宗教保守の立場を共有しない人物を二流市民とみなしている。ジハーディストがシリアでの活動のためにトルコを拠点として利用し、イスラム国が台頭するなかで、このような政策がとられたために、いまやトルコ社会は過激化している。イスラム国の脅威が高まるなか、国家と社会にとって痛手なのは、クーデター未遂事件によって、かつてはトルコでもっとも信頼され、結束を誇った軍に対する政府と社会の信頼が今後失墜していくと考えられることだ。
引用:
トルコ、「禁酒令」で揺らぐ世俗主義 2021年5月13日 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR06D4H0W1A500C2000000/ 
トルコは飲酒に寛容で、都市部では日中からテラスで酒を飲む人も珍しくない。名物の蒸留酒ラクのほか、「エフェス」など国産ブランドのビールやワイン製造も盛んだ。だが、イスラム教の価値観を政治に反映させることを重視するエルドアン氏は、政権を取った2002年以降、段階的に酒類への課税を強化したほか、13年には法律で一切の広告や午後10時以降の販売を禁止するなど否定的な態度をとってきた。

■イラン
引用:
イラン 世界各国の信教の自由に関する 2007 年版年次報告 民主主義・人権・労働局公表(法務省) https://www.moj.go.jp/isa/content/930002626.pdf
憲法では、イランの公式宗教はイスラム教であると定められており、教義は Ja’afari(12 イマーム)シーア派のものである。憲法第 4 条では、すべての法律および規制がイスラムの基準に基づくものでなければならないと定められている。政府は、宗教の自由を厳しく制限している

■エジプト 
引用:
エジプト 信仰の自由に関する2008年国際報告書 (法務省) https://www.moj.go.jp/isa/content/930002808.pdf
憲法は信仰の自由と宗教上の儀式の実施を認めているが、実際は、政府はこれらの権利に制限を設けている。イスラム教は正式な国教であり、シャーリア(イスラム法典)が法律の主たる典拠となっている。

この3か国のうちイラン、エジプトはイスラム教を法制化したイスラム法によって統治されている国です。トルコは政治と宗教の分離による統治をし、イスラム教で禁止されている飲酒などもできるようです。ただ、冒頭の記事内容には「科学と宗教が対立する場面では常に宗教が正しい」という設問に対する答えのグラフでは科学よりも宗教を重んじるというトップ3にトルコが入っています。イスラム教の国と言ってもその国の法律、文化、イスラム教の解釈よって宗教色の濃淡はあるものの、トルコはイスラム教信仰が深い国柄(宗教色の強い国)だと考えられます。

そもそもイスラム教とは(wiki)
引用:
異論はあるが、2010年時点で16億人の信徒があると推定されていて[1]、キリスト教に次いで世界で2番目に多くの信者を持つ宗教である。
イスラム教(イスラムきょう)、イスラーム教、イスラームは、唯一絶対の神(アッラー)を信仰し、神が最後の預言者を通じて人々に下した(啓示した)とされるクルアーンの教えを信じ、従う一神教である。
さらにここ(wiki)には死後の世界というものが具体的に書かれています。これらのことからこの3国において人に死後の世界があるかどうかの問いにあると答えた人の割合が多いというのは頷けます。

日本から見たイスラム教とが相容れない点
「日本国憲法は、信教の自由を保障し、国は宗教教育やその他いかなる宗教的活動もしてはならないと義務付けている。憲法は、宗教団体がいかなる政治上の権力を行使することも、国からの特権を受けることも禁止している。」とされています。日本からみれば、イスラム教という1つの宗教を法制化した国が存在すること自体想像にも及びません。

宗教の自由が認められている日本では色々な宗教がある中でイスラム教に入信することは全く問題のないことです。本人が良ければそれでよしなのです。しかし、以下の点に関してはイスラム教は日本では受入れられないと思われます。

・イスラム法上では、棄教者は原則として死刑
引用:
イスラム教における棄教 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%A0%E6%95%99%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%A3%84%E6%95%99
日本においてはムスリム自体が少ないため、現在までのところイスラム教からの改宗者の取り扱いに関して大きな問題は発生していない。ただし日本のモスクで配布されるパンフレットでも「イスラム教徒は原則改宗はできない」と明記されている。ここでは信教の自由については、「共同体に影響を与えないこと」を条件として、心の内面でイスラムの信仰から離れることは可能であるとしている。文面から推測するに、他宗教に改宗しても、それが表面的に分からないレベルであれば許されるが、公に他の宗教の信仰を告白することは不可能だともとれる。以下はその原文である。
もしかしたら、『イスラームをやめる自由』はないのでは?という質問がされるかもしれません。確かに、イスラームの決まりでは、ムスリムがイスラームをやめることはできません。しかし、心の自由はあります。イスラームでは、ムスリム同士でも他人の内面の信仰をとやかく言うことを禁じています。ですから、イスラームを信じなくなった人がいても、それが心の信条である限りは問題はありません。ただ、そのことを広言することは、他の人にイスラームを捨てるよう求めることと同じですから、それは禁止しています。それを、内部での争いを呼ぶ行為と考えているのです。
―『イスラームという生き方-その50の魅力-』イスラーム文化センター、2007年4月20日、P.17「心の自由」
近年日本にも多くのムスリムが出稼ぎなどでやってきており、その中には日本人と結婚し定住するものも出てきている。またこれらのムスリムは多くパキスタンなどの保守的イスラムの強い国から来日しているため、将来的に日本で生まれた二世以降の世代(片親がムスリムであれば、生まれた時点でムスリムとされる)がイスラムを棄教してそれ以外の宗教を選択する場合、彼等の信教の自由が脅かされる可能性があるという意見もある。
引用:
2016 年世界の宗教の自由に関する報告書:イラン(法務省) https://www.moj.go.jp/isa/content/930003666.pdf 4ページ
憲法は個人の考えを調査することを禁じており、如何なる者も「単に見解を持っているというだけで尋問及び攻撃に晒される」 ことがあってはならないと定めている。法律は、イスラム教徒市民がその宗教的信条を変える又は放棄することを禁じている。他の宗教からの改宗を認められるのは、イスラム教に改宗する場合のみである。イスラム教からの背教は死刑を科される犯罪である。法律に基づき、イスラム教徒を父に持つ子どもは、イスラム教徒であるとみなされる。

イスラム教に入信すれば、子々孫々に至るまでイスラム教徒となり改宗はできないことを示しています。イスラム教が良いか悪いかは別にして世代が変わりイスラム教に違和感を感じた子孫が仮に改宗したとしてもその改宗を公表することはイスラム法では犯罪となるのです。これは、未知数の子孫に対して宗教を選択する権利というものを奪ってしまうことなるのではないでしょうか。次のような記事を見つけました。
引用:
国別指針および情報ノート イラン:キリスト教徒およびキリスト教への改宗者(法務省) バージョン 5.0 2019 年 5 月 https://www.moj.go.jp/isa/content/930005683.pdf 25ページ
ユニオン・チャーチの代表者によると、たとえ当局に知られていなくても、改宗者は家族から避けられたり、『名誉殺人』に直面したりする可能性がある。
引用:
キリスト教に改宗した男性、家族に殺害される エジプト https://www.christiantoday.co.jp/articles/27292/20191015/muslim-family-kills-son-over-christian-conversion-egypt.htm 2019年10月15日 
エジプトでイスラム教からキリスト教に改宗した男性が、家族から殺害される事件があった。男性は、自身が改宗したことを示す複数枚の写真をフェイスブックに投稿していた。米国に拠点を置く迫害監視団体「国際キリスト教コンサーン」(ICC、英語)が9日、明らかにした。

日本の法律ではこの家族は単に殺人罪として裁かれることになり、本人も家族もどちらにとっても不幸な出来事と捉えられるでしょう。しかし、イスラム教では「名誉殺人」(家族の名誉を回復する殺人)と捉えられます。殺人ということに対して宗教を切り離した日本の法律の価値観とイスラム教という宗教の価値観は全く違い相容れないものです。

・女性の権利が尊重されていない
引用:
ジェンダー平等は家庭から ─イスラム教の女性たちの取り組み─ https://imadr.net/books/201_3/
イスラム教国において女性の平等や人権の確立を実現しようとする際、壁として立ちはだかるのが「シャリア法」である。シャリア法とはコーランと預言者ムハンマドによって示されたイスラム教の規範の体系のことを指し、イスラム教の国々ではシャリア法に基づいて国内法が作られているが、女性の権利を制限したり、女性を従属的な立場に置く法律が多く存在する。----
引用:
アングル:服装規定反対から政治改革要求へ、立ち上がるイラン女性 2022年10月14日 https://jp.reuters.com/article/iran-women-idJPKBN2R806Z
数多くあるイラン女性の不満の中で、服装規定の強制はその筆頭だ。イラン女性は国民の半数以上を占め、中東で最も教育水準が高い部類に入る。識字率は80%を超え、イランの大学生全体の60%超が女性だ。
だが、革命後に導入されたイランのイスラム法では、男性は女性よりもはるかに簡単に配偶者と離婚することができ、7歳以上の子どもの親権は自動的に父親が担うことになる。
議員や高官を含め、女性が外国に行く際には夫の許可が必要だ。法廷で証人として行う証言の価値は女性が男性の半分で、娘の遺産相続は息子の半分となっている。

日本の法律と比較すると日本は如何に女性の権利が尊重されているかが分かります。さらに同性愛に関してもイスラム教の国によっては死刑、禁固刑になるところがあります。日本では所謂LGBTとされる人達がテレビに出演し、かなり人気もあり多くの視聴者が受入れています。もし、これがイスラム教国で犯罪として扱う国であれば批判が殺到し殺害される危険性もあるでしょう。

以上の点においてはイスラム教が日本では全く相容れない点です。もし、それぞれの異国で暮らすのであれば、お互いの文化風習の違い、所謂価値観の違いというものをしっかりと認識した上で、それぞれの国ではそれぞれの文化風習の価値観を尊重することが必要だと思います。正しいかどうかということは別にして、価値観の押しつけは反発しか生まないものです。
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