パレスチナ自治政府の行方

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2025/11/16 9:12 | 最終変更
タツ  管理人   投稿数: 2536
現在、多くの国がパレスチナ自治政府を国として認めようとする動きがあります。国として認め平和で良い方向に向かうのであればそれに越したことはありません。しかしながら、国としては国境を設定しなければなりません。西岸地区などイスラエルの住民ととパレスチナ自治政府の住民が混在する地域についてはイスラエルの協力と交渉は不可欠です、また国を承認するにあたってはガザ地区のハマスを排除することが1つの前提条件とされています。パレスチナ自治政府はこの難問を解決できるのでしょうか。

アラブ強硬派による暗殺の脅威
1979年エジプトのサダト大統領は今後の起こり得る戦争にかかる費用、国内の経済事情を背景にイスラエルと国交を結び、ガザ地区を除くシナイ半島が返還されました。しかし、このことに反発したアラブ強硬派によって1981年10月6日暗殺されました。それにも関わらず、次のエジプト大統領もイスラエルと国交を維持しました。このことは国の在り方として反イスラエルという社会思想よりも国民の生活を優先したと言えます。しかしながら、暗殺犯は処刑されたもののアラブ強硬派からは賞賛され、その後、その名前を冠したテロ組織の誕生など影響が長く続きました。このことは、今後も、反イスラエルという社会思想のアラブ強硬派による暗殺、テロが起こり得る可能性を示唆しています。

また、1993年と1995年2回のオスロ合意(イスラエルを国家として、PLOをパレスチナの自治政府として相互に承認する)でパレスチナ代表アラファト議長と合意したイスラエルのラビン首相も、1995年1995年11月4日にイスラエル右派の過激派(後に裁判で終身刑となり現在も服役中)によって暗殺されました。しかしながらイスラエル社会において、その行為が国家と国民に多大な損害を与えたとして、非常に低い、否定的な評価を受けています。

同じく、パレスチナの代表でアラファト氏はイスラエルとの前回のオスロ合意1と2には合意したものの2000年のキャンプ・デービッド首脳会談で最終合意文書にサインしませんでした。主な理由は、エルサレムの帰属問題とパレスチナ難民の帰還の権利といった主要な懸案事項で、双方の隔たりが埋まらなかったためとされていますが、合意すること自体アラブ強硬派の暗殺の標的にされる懸念もあったからではないでしょうか。実際に2004年アラファト議長はフランスで死去し、毒殺の可能性が示唆されています。
引用:
アラファト前議長、毒殺された可能性 遺骨からポロニウム検出 2013年11月7日 https://www.afpbb.com/articles/-/3002852
【11月7日 AFP】(一部更新)中東の衛星テレビ局アルジャジーラ(Al-Jazeera)は6日、2004年に死去したパレスチナ解放機構(PLO)のヤセル・アラファト(Yasser Arafat)前議長の死因を調べていたスイスの科学者らが、放射性物質のポロニウムによる毒殺だった可能性が高いとの結論に至ったと報じた。
毒殺が本当かどうか、誰に毒殺されたのかどうかは別にして、結果的にPLOアラファト議長は平和条約に貢献したもののパレスチナ自治政府の代表者として認めらられませんでした。

また、国連も含め、その関係団体、NGO団体等はどちらかというとイスラエルの主張に対しては厳しくアラブ側の主張には寛容だと見受けられます。それはイスラエルが圧倒的な強さを持っているからかもしれません。しかし、最も大きな要因の1つにはアラブ強硬派による暗殺の脅威があるのではないでしょうか。

国連は直接紛争を解決することはできない
国連は国連軍(加盟国の軍隊から構成される多国籍軍)を動かすには国連安全保障理事会の承認が必要です。常任理事国(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国)は拒否権を持っているためその内の一国でも反対があれば承認されることはありません。
つまりこの5か国についてはどんなことをしたとしても国連軍が自国に向けられることはないという意味を示唆しています。
従って、ロシアとウクライナ戦争においてはロシアがウクライナに侵攻したとしても拒否権を発動するため国連軍が動くことはありません。また、同様に中国が台湾に侵攻したとしても同様のことが言えます。
国連は直接紛争解決することはできず役には立ちません。国連が今まで解決したとされる紛争事例の1つに長引いたカンボジア内戦があります。しかしながらこれは1990年8月一番最初に日本がカンボジア和平に関する国際会議(東京会議)を主催し平和への道筋をつけました。その後 1991年10月23日フランスのパリで「カンボジア紛争の包括的政治解決に関する協定(パリ和平協定)」が締結され、さらに後始末を国連がおこなったという経緯です。フランスと国連が大きく取り上げられていますが、実は本当にこの紛争の解決に貢献したのは日本です。国連が紛争の直接解決をしたのではありませんでした。

アラブの流れはアラブ強硬派の社会思想よりも平和を重視しようとしている
もともとアラブ人の根底には反イスラエルという意識がありますが、時代とともにアラブ強硬派の社会思想よりも平和を優先する流れになっているのではないでしょうか。イスラエルとアラブ諸国が国交正常化を締結しつつあります。イスラエルはエジプトを皮切りに現在6か国と国交正常化に合意しています。
・エジプト: 1979年に平和条約を締結しました。
・ヨルダン: 1994年に平和条約を締結しました。
・アラブ首長国連邦(UAE): 2020年8月に国交正常化に合意しました。
・バーレーン: 2020年9月に国交正常化に合意しました。
・スーダン: 2020年10月に国交正常化に合意しました。
・モロッコ: 2020年12月に国交正常化に合意しました。

また、多くの国がパレスチナの国家承認を望んでいます。ただし、その前提条件としてハマスを排除することとなっています。つまり平和を構築するためにはアラブ強硬派の社会思想は排除しなければならないということを示唆しています。アメリカの現国務長官マルコルビオ氏が2025年2月にメディアインタビューで語った一言、「ハマスがガザにいる限りガザに平和は訪れません」という言葉はその通りだと思われます。他にもパレスチナの国家承認に対する前提条件には次のようなものがあります。
引用:
AIによる
多くの国がパレスチナ国家を承認するにあたり、「ハマスの排除」や「ハマスが関与しない形でのパレスチナ自治政府の改革」を前提条件としています。
具体的な条件は国によって異なりますが、概して以下の点が求められています。
・ハマスの排除: ガザ地区を実効支配してきたイスラム組織ハマスを政治的・軍事的な影響力から排除すること。
・非武装化: パレスチナ自治区の非武装化を進めること。
・自治政府の改革: 現在ヨルダン川西岸地区を統治しているパレスチナ自治政府(PA、ファタハ主導)が、将来の国家統治を担えるよう、ハマスの関与しない形で改革し、統治能力を強化すること。
・イスラエルの安全保障の確保: パレスチナ国家の樹立がイスラエルの安全保障を脅かさないことを保証すること。
例えば、イタリアは人質解放とハマス排除を承認の条件としており、カナダはハマスが関与しない形での選挙実施と非武装化を条件としています。 これらの条件は、パレスチナ国家が国際社会の一員として責任ある行動をとり、イスラエルとの「2国家解決」による平和共存を実現するための実行可能なパートナーとなることを目的としています。
国を承認するにあたって、これを見る限りその前提条件はアラブの強硬派に屈しない秩序のある強い政府を望んでおり国際社会の認識は一致しています。

国際社会はある意味無責任
国際社会は国家承認の条件としてハマスを排除することを前提としています。逆に考えれば、パレスチナ自治政府を国家承認してほしければアラブ強硬派を排除せよということになります。とはいえ、現実的に、PLOのアラファト議長は少なくともパレスチナ自治政府の代表者としてイスラエルとの平和条約を結ぼうとしましたがアラブ強硬派から大きな反発を受け結局失敗に終わっています。
現状、パレスチナ自治政府は決定権を持つ代表者は存在せず正式な交渉窓口も不明で実体のない政府となっています。国際社会はこのような誰も代表としての決定権を持っておらず窓口が不明で実体のないパレスチナ自治政府の誰に対して前提条件を突きつけているのでしょうか。とても今の政府がハマスのようなアラブ強硬派を排除するようなことはできません。できないことを国際社会は要求しているのです。ある意味国際社会は無責任ではないでしょうか。

1967年6月の第三次中東戦争(六日間戦争)で、イスラエルはエジプトのシナイ半島、ガザ地区とヨルダンの西岸地区を占領しています。その後1979年エジプトのエジプトのサダト大統領はイスラエルとの平和条約を締結し、それまでエジプトの領土であったシナイ半島とガザ地区のうちガザ地区返還は拒否しシナイ半島だけが返還されています。ヨルダン川西岸地区については1988年ヨルダンはこの地区の領有権を放棄しています。1995年のイスラエルとパレスチナ自治政府によるオスロ合意2によって3つの地区に分割されています。
引用:
AIによる
オスロ合意2(1995年)に基づき、ヨルダン川西岸地区は、パレスチナ暫定自治の取り決めとして、A地区、B地区、C地区の3つの行政区域に分割されました。これらの地区は、それぞれ異なるレベルの行政権限と治安権限が定められています。
各地区の概要は以下の通りです:
A地区(Area A):
権限: パレスチナ自治政府が行政権と治安権の両方を完全に管理します。
場所: おもにヨルダン川西岸地区の主要なパレスチナ都市部(ラマッラー、ナブルス、ジェニンなど)が含まれます。
特徴: イスラエル国民の立ち入りは、通常禁止されています。
B地区(Area B):
権限: 行政権はパレスチナ自治政府が管理し、治安権はイスラエルとパレスチナの共同管理となります。
場所: A地区を取り囲むパレスチナの小さな町や村落部が含まれます。
C地区(Area C):
権限: 行政権と治安権の両方をイスラエルが完全に管理します。
この区割りを地図で確認すると分かりますがA地区、B地区、C地区が点在し、いつ紛争が起こったとしても不思議ではない状態です。とても国としての領域を定められる状態ではありません。これはイスラエルとパレスチナ自治政府が協力しない限り解決することはないでしょう。

エジプトはイスラエルからのガザ地区返還を拒否し、ヨルダンはヨルダン川西地区の統治権放棄しました。これら最大の要因は統治が困難で危険をはらむ複雑な地域だからだと考えられます。現在、エジプトもヨルダンもイスラエルとの平和条約を締結しています。一連の動きから考えればエジプト、ヨルダンどちらの国も自らによる根本的な解決を避け、結果的にはイスラエルに下駄を預けたように見えます。

果たしてパレスチナ自治政府は国際社会が主張するようにアラブ強硬派を排除してイスラエルとの平和条約を締結しこの複雑な地域を統治できるのでしょうか。これはアラブ強硬派による暗殺の危険性を伴ったまさに命がけの仕事だと言えるでしょう。確かなことは、国内外を問わず国家として暗殺、テロを賞賛するような国に将来はなく、平和が訪れることは決してないでしょう。
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